9月12日、環境省採択の使用済み衣料回収実証事業「Community Loops」のキックオフイベントが開催され、14名の参加者が思い出やエピソードのつまった衣類を持ち寄りました。大切にしてきた着物、着なくなったお気に入りの服、家族に託された服などが、それぞれにまつわる物語と共に会場に集まりました。

顔が見える「譲渡」の時間
このイベントの特徴は「顔が見える地域の人に、ストーリーと共に譲渡する」こと。
会場ではさまざまなエピソードが生まれました。
- 奥さんから贈られたコートを手放す男性。毎年の初詣の思い出を、はにかみながら語りました。
- ニナリッチのハンドバッグを手にした若者。「お弁当を入れて使いたい」と、思わぬ形で受け継がれました。
- 着物を持ち込んだ女性は、すぐに貰い手が見つかったことに「こんなに嬉しいなんて」と涙を浮かべました。
- その場でサイクラスのリペアスタッフが長すぎる丈は直してくれます。自分のズボンをリメイクし持ち帰る方の姿も。
- 古いバッグを囲んで「どこのメーカー?」「時代のデザイン?」と参加者同士で会話が弾むひと幕もありました。




譲り受けた方が「どうやって使うか」を発表する場面もあり、持ち主は自分の不用品が第二の人生を歩み出す瞬間を見届けることができました。
循環のあたたかさを体感
会場は終始、あたたかく和やかな雰囲気に包まれていました。
「使用済みの衣類を手放す」というと、通常は資源ゴミとして捨てるか、中古品として売るかが一般的。しかし今回、新たに加わった「顔が見える地域の人にストーリーと共に譲渡する」という選択肢は、参加者に大きな気づきと喜びをもたらしました。

実証事業は11月末まで
「Community Loops」の実証事業は始まったばかり。この取り組みは11月末まで続きます。ぜひ、benten103内に設置されたCommunity Loops回収ボックスへ、不要な衣類をお持ちください。
あなたの思い出の品が、新しい持ち主のもとで新たな物語を紡ぎ始めるかもしれません。
イベント名|手放す、めぐる、生まれ変わる。 服と物語の交換の夜 〜地域をまるごとクローゼットにする「Community Loops」キックオフ!〜
主催|Community Loops
「Repair Café モデル実証事業」として、合同会社CYKLUSとハーチ株式会社が共同で推進する、環境省補助事業です。衣類の回収・リペア・リユースを通じて、地域内での資源循環と新たなコミュニティ価値の創出を目指しています。将来的にはNFCタグを用いて服のストーリーを可視化・継承する、透明性の高い循環モデルの構築を構想しています。
開催日時|2025年9月12日(金)18:00~20:00
開催場所|benten103
参加人数 |14名
参加者|地域の方、サーキュラーエコノミーに興味がある方、リペアやリメイクの活動をしている方、スローファッションを推進している方など。
協力| benten103 / KANMATCH
写真・ATSURAELU 文・benten103ディレクター林
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