「子どもが主体」「サブであり続けたい」このキーワードが何度も登場した。
8月7日benten café vol.2 イベントレポート
ゲスト:マーチアンドストア除村さん
DIYイベント後に佐々木Dのbenten café vol.2が開催され、参加者10名で普段聞けない建築家の想いを囲んだ。トークは団地商店街に開いた駄菓子屋兼設計事務所を中心に展開する。
除村氏の駄菓子店を例えると「強風でも消えないバースデーキャンドル」のような店だ。存在感は控えめで、主役(お客さんまたはケーキ)をポップに楽しく盛り上げる昔からの定番アイテム、光量は小さくても生命力抜群のあたたかい灯り。
自身が幼少期を過ごした団地のおもちゃ屋さん、長い年月の中で一旦人手に渡ってリニューアルしたそうだが、それでもまた再度閉店する事を聞き、最終営業日を訪れたそうだ。「商店街再生」なんてまるで頭になかった、と除村氏は言う。しかし、閉店にも関わらずファンで賑わう店を見て譲り受けることを即決する。後日、店舗跡を見に行くとがらんどうになった空間に集まり今まで通りに遊ぶ子ども達の姿が。
『子どものためのサードプレイス、おとな非介入の場所をおとなの自分が用意する想い』を強くしていく。
町田ぐりーんハウスでは、駄菓子屋の一角にシェアキッチンと設計事務所がある。地域のおとなが飲食ポップアップストアを開くこともある。その親に連れられた子どもたちは駄菓子屋で遊ぶこともできる。菓子を選びながら設計の本や建築家ならではの内装に触れ、生活の延長でクリエイティビティに触れる。このように地域住民に便利に使ってもらいながら、本気のデザインが伝わる環境も生まれ、心地よく価値観が循環している。
また、除村氏は「不意な出会い」をとても大切にする。実店舗ならではの意図しない人との出会いや、目的ではない商品をふと手に取る事で生まれる感情、そのアンコントラブルな要素はITが便利な現代で失われつつあるから。
除村氏の脳裏に映る40年前の団地の賑わいやそこに確かにあった人と人の繋がり、その風景を少しだけ取り戻せるカルチャーが、駄菓子屋に込められていると感じた。(後半へつづく)
マーチアンドストア https://marchandstore.jp/
ぐりーんハウス https://www.instagram.com/greenhouse_machida/?hl=ja