8月7日イベント8月7日benten café vol.2 イベントレポート。(前半からのつづき)
マーチアンドストア除村氏の設計は「ルーツを辿る」工程を疎かにしない。町田市山崎団地商店街では、除村氏が地域の方の想いを丁寧に聞き取りながらストーリー設計を行った結果、少しづつ理解と協力が広まった。
そうした社会的な関わり方が紹介されたかと思えば、裏原宿に通った感覚が反映されているというトピックスもあった。
「そこに行かないと手に入らない価値」を大事にすること。そのワクワクする気持ちを、つまり、その価値を団地商店街にも作ろうとしていること。いつも物静かな除村氏のサブカル好きなロックな一面がのぞき、聞いている私たちは自然と笑顔になる。
対してbenten103はどんなコンセプトから発進したのか?
ここは「公園」から始まっている。
道を歩いていたら自然とラウンジに来ていた、というくらいにパブリックで、フリーで、ニュートラルなデザイン。
当初は遊具を思わせる家具の配置や、緑地を想像するようなスペースもあり、馴染みやすさが前面に出た設計図だった。
紆余曲折して「ニュートラル」が残り、「特別な主張を感じさせないこと」がbenten103のコンセプトになった。
内装はいかにもニュートラルなグレーを基調としたbenten103。入ってすぐ目につく作り付けの本棚は、人に馴染みつつ主張が控えめな肌色に近いピンクブラウン。対角線上にあるミニキッチンはブルーのタイル。ここだけが穏やかに横浜や海を示唆し、ニュートラルな中に地域へのアイデンティティを感じる空間になっている。場内には除村氏デザインのオリジナル什器があり、一部は内側が唐突にカラフルになっており、当初の「公園デザイン」がここに還ってきている事に気づく。
さすが駄菓子店主建築家(と言って良いのか、は、さておき)、おとなの童心に響くユーモアを感じるポイントである。
(文章・林D)
マーチアンドストア https://marchandstore.jp/
ぐりーんハウス https://www.instagram.com/greenhouse_machida/?hl=ja
「公園」から始まるデザイン
